相続・事業継承に関するポイントまとめ記事です。
2級FP技能士試験対策として使いました。
相続・事業継承以外は↓こちら

親族に関する民法の規定
親族・姻族
- 親族とは、6親等内の血族および3親等内の姻族をいう。
- 未成年者が婚姻をするに際して、父母の一方が同意しない場合、他の一方の同意だけで足りる
- 夫婦の一方が死亡しても、生存配偶者と死亡したものの血族との姻族関係は原則として継続する
協議離婚
- 協議離婚をする場合、当事者間に未成年の子があるときは、その協議によりどちらが親権者となるかを定めなければならない
- 競技場の離婚をしたものの一方は、相手方に対して財産の分与を請求することが出来る。ただし、離婚のときから2年を経過した場合、家庭裁判所に対して、財産分与に係る協議に代わる処分を請求することが出来ない。
養子縁組
- 普通養子縁組が成立した場合、養子と実方の父母との親族関係は終了しない。
- 特別養子縁組が成立した場合、原則として養子と実方の父母との親族関係は終了する。
扶養
- 直径血族および兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。また、家庭裁判所は、特別の事業があるときは、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることが出来る。
法廷相続分 法定相続人
法定相続分とは、遺言による相続分の指定がない場合に民法で定める相続分のこと。
相続人 | 法廷相続分 | |
第1順位 | 配偶者と子 | 配偶者=1/2 子=1/2 |
第2順位 | 配偶者と直系尊属 | 配偶者=2/3 直径尊属=1/3 |
第3順位 | 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者=3/4 兄弟姉妹=1/4 |
民法と相続税法では法定相続人の考え方が異なる。ポイントは「放棄」「胎児」「養子」の3点。
民法の法廷相続人
- 相続放棄した人ははじめから相続人ではない
- 法定相続の割合:実子と養子に差はない
相続税法上の法廷相続人
- 相続放棄した人も相続人の数に含めて計算する
- 養子については、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までを法廷相続人の数に含めて計算する。
- 相続税の申告期限において、胎児が生まれていない時はその胎児がいないものとして取り扱う
- 法定相続分通りに相続したものとして相続税の総額を計算し、実際に各人が相続した割合に応じて相続税を負担する
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法廷相続人の数
遺産分割の方法
相続人が複数いれば、相続財産(遺産)は相続人(共同相続人)全員のもの。
複数の共同相続人において、相続人の財産を実際に移転させる手続きを遺産分割という
遺産分割の種類
指定分割
被相続人は、遺言で遺産の全部または一部について分割方法を指定したり、相続人以外の第三者に分割方法を指定するように委託することが出来る
このように遺産分割をすることを指定分割といい、協議分割より優先される
協議分割
共同相続人全員で協議して、全員の合意で分割内容を決定することを協議分割という。
法定相続分に従う費用はない。
共同相続人全員の合意が必要。
指定分割が優先されるが、相続人全員の合意があれば遺言内容によらず協議分割により遺産を分割することが可能
調停分割
協議分割がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、調停委員が間に入って話し合い遺産分割することを調停分割という
審判分割
調停も不調に終わった場合には、家庭裁判所に審判を申し立て、家庭裁判所が職権により分割の審判を行うことを審判分割という。
遺産分割の方法
遺産分割の方法として、
- 現物分割
- 換価分割
- 代償分割
の3種類がある。
現物分割
共同相続人間で、相続する数量や金額、割合を決めて被相続人の遺産そのものを分割する方法
換価分割
共同相続人が、相続した遺産の全部(または一部)を金銭に換えて(換価)、その金銭を分割する方法
代償分割
共同相続人のうち特定の相続人が遺産そのものを取得し、その代償として他の相続人に、自己の固有財産で支払うという分割方法
贈与税の計算と申告・納税
贈与税の計算期間や基礎控除
贈与税の計算期間は暦年(その年の1月1日~12月31日)
課税価格=本来の贈与財産+みなし贈与財産-非課税財産
贈与税には、受贈者1人当たり年間110万円の基礎控除額がある。
↓
1年間に贈与を受けた財産の合計額(課税価格)が110万円いかであれば贈与税は課税されない
贈与税の課税計算
贈与税の税率は超過累進課税で、特例贈与財産に係る税率と一般贈与財産に係る税率の2区分になっている
特例贈与財産・・・20歳以上の者が父母・祖父母など直径尊属から贈与を受けた財産
一般贈与財産・・・特例贈与財産以外
贈与税額=(課税価格-基礎控除額)×税率-控除額
贈与税の申告
贈与税の計算は納税者自身が行う
1月1日~12月31日までに贈与によって取得した財産の合計額が基礎控除額(110万円)を超える場合は申告書を提出する
贈与税の配偶者控除など、贈与税の特例の適用を受ける場合は、その特例の適用によって納税額がゼロとなる場合でも、申告書の提出が必要
申告書の提出先は、受贈者の住所地を管轄する税務署長
申告書の提出期限・・・翌年の2月1日~3月15日
贈与税の納付・・・申告書の提出期限までに現金で
贈与税の特例
夫婦間での贈与や、子・孫がマイホームを購入する際に父母・祖父母が資金援助する場合には、贈与税を軽減する特例制度がある
贈与税の配偶者控除
配偶者から、居住用不動産または居住用不動産の購入資金の贈与を受けた場合、贈与税の基礎控除(110万円)とは別に、2,000万円の配偶者控除の適用を受けることができる。
同一配偶者間では一度しか認められない(別の相手と再婚した場合、20年以上になれば適応可能)
配偶者控除の適用条件
- 婚姻期間が20年以上であること
- 贈与財産が居住用不動産、または居住用不動産を購入するための資金であること
- 贈与の年の翌年3月15日までにその居住用不動産に居住し、かつその後も引き続き居住する見込みであること
- 過去に同じ配偶者からこの特例を受けていないこと
申告書の提出
贈与税の配偶者控除を受けるには、贈与財産が2,110万円以下で、贈与税額がゼロとなる場合でも、四国所の提出が必要
3年以内に相続が発生した場合
贈与税の配偶者控除の適用によって贈与税の軽減を受けた場合は、特例を受けた不動産の価額(2,000万円まで)は生前贈与加算の対象にはならない
相続時精算課税制度
受贈者が贈与者ごとに2,500万円までの生前贈与について贈与税が非課税となる制度
相続発生時には、贈与財産を相続財産に加えて相続時を計算する
適用対象者
贈与者・・・60歳以上の父母・祖父母
受贈者・・・20歳以上の子・孫
適用対象となる財産
金額・回数・財産の種類に制限なし
特別控除額
累計2,500万円
適用税率
特別控除額2,500万円をこえる部分に対して、一律20%
相続時の扱い
この制度に係る贈与者が死亡した場合、この制度により受けた贈与財産をすべて相続財産に加算し、相続税を計算する
相続財産に加算される贈与財産は、贈与時の価額
住宅取得等資金の贈与税の非課税
20歳以上の人が、父母・祖父母などの直系尊属から住宅の購入や増改築のための資金贈与を受けた場合、一定額まで非課税の適用を受けられる制度
基礎控除額あるいは相続時精算課税制度の特別控除額と併用可
運用対象者
贈与者:直系尊属(父母・祖父母)
受贈者:20歳以上の子・孫(合計所得金額2,000万円以下)
適用対象となる財産
住宅の購入や増改築のための資金(住宅そのものは対象外)
適用対象となる床面積
50㎡以上240㎡以下
非課税限度額
適用年により異なる
良質な住宅家屋の場合、それ以外の住宅家屋に比べて500万円上乗せされる
拠出できる期間
2021年12月31日まで
贈与後3年以内に相続が発生した場合
適用を受けた金額までは生前贈与加算の対象とならない
不動産の評価
覚えておきたい計算式
一方のみが路線に接する宅地(自用地)
路線価 × 奥行価格補正率 × 地積
普通借地権
自用地評価額 × 借地権割合
貸宅地(地上権または借地権の目的となっている宅地)
自用地評価額 × (1 - 借地権割合)
貸家建付地(貸家の敷地の用に供されている宅地)
自用地評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
自用家屋
固定資産税評価額 × 倍率(常に1.0)
貸家
自用家屋の評価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)
小規模宅地等の評価減の特例
一定面積まで通常の評価額から一定割合を減額する。
特定事業用宅地等と特定居住用宅地等とは、完全併用できる。
利用状況 | 適用対象宅地 | 減額割合 | 減額対象地積 |
---|---|---|---|
居住用 | 特定居住用宅地等 | 80% | 330㎡ |
事業用 | 特定事業用宅地等 特定同族会社事業用宅地等 | 80% | 400㎡ |
貸付用 | 貸付事業用宅地等 | 50% | 200㎡ |
小規模宅地等の減額割合は覚えておくこと!余裕があれば↓の適用条件も確認する
特定居住用宅地等
適用条件
- 被相続人の配偶者が取得の場合は無条件
- 同居親族や生計同一親族が取得の場合は申告期限まで居住かつ宅地等を所有
限度面積
330㎡
減額割合
80%
特定事業用宅地等
適用条件
- 貸付事業以外の事業用の宅地等を申告期限まで有し、事業を継続
限度面積
400㎡
減額割合
80%
貸付事業用宅地等
適用条件
- 不動産貸付業、駐車場業などの宅地等を申告期限まで有し、事業を継続
限度面積
200㎡
減額割合
50%
〇×問題を解いてみる
過去問チャレンジも忘れずに(←FP協会サイトへリンク)
( )内に〇か×が書いてあるので、反転すれば答えがわかります
スマホだとちょっと見にくいかもしれません
民法上の親族とは、5親等内の血族、配偶者、3親等内の婚族である( × )
普通養子縁組において、未成年者を養子とする場合、市町村長の許可が必要である( × )
法廷相続分は、遺言などによる相続分の指定がない場合に、相続人が遺産分割する際の基準として定められているものである( 〇 )
配偶者、子A、子Bの3人が相続人となる場合、それぞれの法廷相続分は3分の1である( × )
相続の開始があったことを知った日から何もせず3か月が経過した場合、相続放棄したものとみなされる( × )
限定承認は、相続人全員で行う必要がある( 〇 )
相続放棄は、単独で行うことが出来る( 〇 )
本来相続人となるべきものが相続放棄した場合、代襲相続が発生する( × )
指定分割は、遺言で遺産の全部または一部について、分割方法を指定する方法である( 〇 )
協議分割は、共同相続人全員で協議して、全員の合意により分割内容を決定する方法である( 〇 )
代償分割は、共同相続人が相続した遺産の全部または一部を金銭に換えて、その金銭を分割する方法である( × )
遺産分割協議書には、法令により定められた書式がある( × )
遺言は夫婦共同で作成することが出来る( × )
遺言は15歳以上で、かつ意思能力があれば作成することが出来る( 〇 )
公正証書遺言の作成に当たっては、証人2人以上の立ち合いが必要である( 〇 )
公正証書遺言は検認手続きを行う必要がある( × )
遺留分は、原則として全財産の2分の1、相続人が直径尊属のみの場合は、全財産の3分の1である( 〇 )
みなし相続財産となる生命保険金は、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約で、被相続人の死亡を保険事故として、相続人等が受け取った保険金である( 〇 )
相続人が受け取った被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となる( 〇 )
相続人が受け取ったみなし相続財産である生命保険金や死亡退職金については、一定額を非課税財産として控除できる( 〇 )
生命保険金の非課税限度額は、「600万×法廷相続人の数」で算出する( × )
生前贈与加算とは、相続開始前3年以内の贈与財産を、贈与時の価額で相続財産に加えることである( 〇 )
遺産に係る基礎控除額は、5,000万円+(600万円×法廷相続人の数)で算出する( × )
課税遺産総額は「課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額」で算出する( 〇 )
被相続人の孫で養子となったもの(代襲相続人ではない)は、2割加算対象である( 〇 )
配偶者の税額軽減の適用を受けた場合、法定相続分相当の金額、あるいは1億6,000万円までの財産を取得した場合なら、相続税は課税されない( 〇 )
配偶者の税額軽減の適用に当たっては、婚姻期間が20年以上という要件を満たす必要がある( × )
相続税法上、宅地の評価は利用の単位となっている「1画地」ごとではなく、登記上の区分である「筆」ごとに評価する( × )
宅地の評価の方式には、路線価方式と倍率方式があり納税者が任意に選択することが出来る( × )
路線価とは宅地の1坪(3.3㎡)当たりの価額である( × )
2つの道路に面している角地や正面と裏面が道路に面している宅地の評価額の計算に当たっては、正面路線の判定を行う( 〇 )
借地権の評価額は「自用地評価額×借地権割合」で算出する( 〇 )
貸家建付地の評価額は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」により算出する( 〇 )
使用貸借により貸し付けている宅地は、貸宅地として評価する( × )
小規模宅地等の特例は、相続税の申告期限までに遺産分割が終了している宅地について適用できる( 〇 )
特定居住用宅地等の減額割合は80%、減額対象地積は400㎡である( × )
被相続人の配偶者が特定居住用宅地等を取得する場合、申告期限まで所有・居住する必要はない( 〇 )
小規模宅地等の特例の適用対象となる宅地が特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の組み合わせの場合、完全併用が可能であり、それぞれの減額対象地積まで適用可能である( 〇 )
贈与税の配偶者控除の適用を受ける場合、贈与税の基礎控除110万円とは別枠で、2,000万円の控除が認められる( 〇 )
贈与税の配偶者控除は、婚姻期間に関わらず適用を受けることが出来る( × )
相続時精算課税制度の特別控除額は、2,000万円である( × )
相続時精算課税制度の適用を受けた財産は、贈与者の相続時において、相続時の価額で相続財産に加算される( × )
「住宅取得等資金の贈与税の非課税」は、暦年課税の基礎控除額(110万円)あるいは相続時精算課税制度の特別控除額(2,500万円)と併用することが出来る( 〇 )